2011年06月29日
韓国OPI研究会 2011年度第2回定例会報告
日時:2011年6月4日(土)13:45~17:00(受付 13:30~)
場所:時事日本語学院 鐘路本館 401号室
参加者:合計20名(内新会員2名)
【定例会内容】
1.13:45~14:35 OPI判定と討論①
(テープ提供:角ゆりか先生〔韓国外国語大学校〕)
(討論司会:川口慶子先生)
角ゆりか先生がテスター取得のために提出した練習ラウンドのテープ。判定が「上-上」で確定しているもの(牧野成一先生承認済)。上位レベルでは「上級」という意見が多い中、下位レベルにおいて、ほぼ均等に意見が分かれた。説明は行っているものの、説明内容が不明確で理解出来なかったこと、RPで敬語が出なかったことなどから、「超級」ではない事を全体で確認した。また、超級のRPで角先生が「インタビュー」という形のRPを使われたことから、超級のRPにおけるインタビューの是非について討論が行われた。RPでは、角先生がインタビューをする側、被験者がインタビューを受ける側という設定で行われたが、インタビューをする側の発話がメインになってしまったこと、敬語が抽出出来なかったことなどが問題点として挙げられた。RPでインタビュー形式を使って行う場合、インタビューの相手やシチュエーションを正確に設定しておかなければ、なかなか敬語が抽出しにくいロールプレイであるということで意見が一致した。改めて、超級でのRP選びや使い方の難しさを確認することが出来るインタビューだった。
2.14:45~15:35 OPI判定と討論②
(テープ提供:小島堅嗣先生〔ハンバット大学校〕)
(討論司会:大橋真由美先生)
小島堅嗣先生がテスター取得のために提出した練習ラウンドのテープ。牧野成一先生の判定で「超級」と出ているもの。複段落を使って抽象的に会話を展開されており、全員で判定を行ったところ、テスター取得者においては、「超級」と高いレベルでの判定で意見がまとまった。討論では、超級の突き上げで行われるべきトリプルパンチが不十分だった、RPで本当に敬語が正確に出ていたのかどうか分からなかったなどの意見が出た。小島先生もRPをインタビューでされており、角先生とは逆に、テスターがインタビューをする側でインタビューを行うものだった。しかし、やはり被験者が敬語の継続が難しく、所々で崩れてしまう部分も見られたことから、改めてRPで「インタビュー」を使うことの難しさを確認した。今回の定例会では、初めて参加してくださった先生方も多く、インタビューに関する討論のみならず、OPIに関する質疑応答なども交えて討論を行った。
3.15:50~16:50 発表とミニワークショップ
「初級会話の待遇表現」
-挨拶場面におけるオーセンティシティー-
(発表者 早矢仕智子先生)
初級会話から使われる「挨拶」。簡単そうに見える半面、場面や文脈で使い方を間違えると、不自然に聞こえたり、失礼に聞こえたりしてしまう。今回は、この「挨拶」を中心に、初級会話における待遇表現について、早矢仕智子先生が発表を行った。まず、OPIのインタビューを通じて実際に被験者がどのように待遇表現を使っているのかを聞き、文法的には間違ってはいないが、待遇表現として使うには適していない部分について確認した。
次に、参加者全員で「初級会話の待遇表現」のペーパーテストを行った。このテストは『会話教材を作る』〈スリーエーネットワーク〉からのもので、シチュエーション、会話が提示されており、会話内で使われるべきである挨拶の表現を書き込む形のものだった。回答を記入した後、周囲の人との回答と見比べて、どのような表現を使ったのかについて簡単に話をした。その後、早矢仕先生が学習者に対して行われたペーパーテストの結果と、ペーパーテストの回答例をもとに、母語話者の使用と学習者の使用とのギャップについて確認した。
この母語話者と学習者の言語使用の溝を埋めるためには、最初の初級会話の学習時において、場面や文化、また、非言語(nonverbal)のコミュニケーションなども理解した上で、待遇表現を意識したり、意識させたりすることが重要だということを感じた。
4.16:50~17:00 お知らせ・その他
第8回国際OPIシンポジウム
【テーマ】OPIとオーセンティシティー
‐オーセンティシティーとプロフィシェンシーに基づく日本語教育のあり方‐
【日 程】2011年8月6日(土)・7日(日)
【場 所】ポートランド州立大学(米国オレゴン州)
※詳しくはポートランド大学のHPを参照ください。
http://2011japaneseopisymposium.research.pdx.edu/
〈文責 迫田亜希子〉
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Posted by J-OPI-K at 20:56│Comments(0)
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