2023年04月10日

2023年度 第1回 定例会報告

2023年韓国OPI研究会 第1回定例会報告書

第1回定例会の内容について以下に報告いたします。

日程  :2023年4月1日(土)14:15~16:50(14:05受付開始)
実施方法:対面(スタディカフェ【Early Bird반포점】)+ZOOM
参加者:15名(対面7名+ZOOM8名)
内容:
14:15〜14:30 運営委員からの連絡事項
      
1)会長ご挨拶、年間スケジュールご案内【小島】
・定例会:第1回4月1日(土)、第2回6月予定、第3回9月予定、第4回12月予定
・学会 :4月23日(土)韓国日本語教育学会の企画発表にて4名発表予定
・スタディ:ワークショップ15期生を中心に不定期で実施中(ZOOMにて)

2)会計報告、入会費・年会費について【後藤】
  ・2022年度会計報告→参加全員のご承認をいただきました。
  ・2023年度の入会費(W10,000)と年会費(w10,000)の振り込み口座ご案内
   (韓国在住の会員様は国民銀行の口座へ、それ以外の会員様は日本の銀行の口座へご入金
願います)
    
14:30〜15:00 opiデモンストレーション(ZOOMにて)
(テスター:迫田先生、被験者:韓国人学習者・男性・大学生)

【インタビューの流れ】
大学4年生→冬休みにしたこと(TOEIC勉強)→アルバイト→大学4年で
ワンルームに引っ越した理由→部屋の契約→一人暮らしで難しいこと
→実家暮らしと一人暮らしの比較→孤独死について→アルバイトの内容を
詳しく説明(コンビニの接客、商品補充、料理、清掃)→アルバイトで大変
だったこと(酔っぱらったお客が来て、警察を呼んだ)→お客の立場に立って
考える→このような問題に対して韓国社会はどう対応すべきか

15:00〜15:35 ◆3つのグループに分かれてレベル判定と話し合い

15:35〜15:40 (休憩)

15:40〜16:15 ◆各グループ発表
 話し合った結果、それぞれのグループで中級上と上級下という2つの判定
         に分かれた。主な判定理由は以下の通り。

         中級上
         ・中級のタスクは軽々こなしていた
         ・語彙が足りないので、段落が難しい部分があった
         ・描写ができていない
         ・時制のコントロールができていない部分があった
         ・超級のタスクができていない
         ・聞き手に理解できない語彙があった(例:「じゅく」→寄宿舎のこと)
         ・「文の羅列」の部分が多い


         上級下
         ・ナラティブ(語り)が安定しており、比較もできていた
         ・超級のタスクの内容が聞き取れていて、答えも的はずれではなかった

なお、インタビューを聞いて気づいた部分として以下の点が指摘された。
・テスターが被験者を助けてしまう場面が多くみられた(テスターが言い換え
たり、まとめてしまっていた)
        ・ロールプレイの設定(先生と学生、学生同士など)をもう少し厳密にした
ほうがよい(今回は借りたアイパッドをなくしたことに対して、コーヒーを
おごったら許す、という展開になっていた)
・上級のロールプレイでは、出来事の経緯や解決方法等に関する「交渉」
 の部分をしっかり提示すべき

最終的な判定結果については、研究会の複数の有資格者で再度検討したのち
決定し、別途報告いたします。

16:15〜16:50 樋口先生ご発表
        ◆タイトル:「JLPT対策を中心に学習をしてきた韓国人留学生の日本語学習に必要なものに対する意識について
~入国前と入国後を比較
して」

        ◆目的  :1)韓国人留学生日本語学習に何が必要か、また何を準備しておくとよいか→大学入学前と入学1年目の学生の比較
              2)大学で使用するための日本語に対し、韓国の教師の授業に
               望むこと

        ◆調査期間:2023年3月23日~3月28日

        ◆調査対象と調査方法
:K大学(理工系)韓国人留学生、新1年生/新2年生
              →Google FORMSを用いてアンケートを実施した

        ◆調査結果:・大学で必要な日本語は入学前、入学後ともに①用語・単語・
               言葉、②聞き取りの2点であった。
              ・大学の授業で必要な日本語について在韓中に準備しておく
               ものは全員が「用語・単語・ことば・語彙力・漢字」を
               挙げた。
              ・日本の生活で必要な日本語については入国後学生が「対話のための会話・トラブルの解決」を挙げ、入国前学生は具体的なイメージをもっていないことがわかった。
              ・日本での生活で必要な日本語について在韓中に準備しておくものについて入国後学生は「ドラマ・Youtube・動画等の、
               状況設定がある媒体」を挙げ、入国前学生は様々な勉強方法
               を挙げていて一致しなかった。
              ・日本に来て日本語がうまく使えず困った場面について入学後
               学生は「記述テストの出題意図が理解できない」と述べた。
              ・韓国で日本語を教える教師に望むことについて入学後学生から「漢字指導」を全員が挙げた一方で「友達言葉、流行語」、「発音を直す」は0名であった。

          ◆考察 :1)大学で必要なものについて共通していたのは「語彙力」。
               2)生活で必要な日本語では「動画や状況がはっきりしている」「対話やタスク、伝えたいことが作り出せる」資料が
                要望されている。
               3)韓国の教師の指導や授業に望むものは「漢字指導」。
   
16:50     終了
 
今回の定例会はドイツから一時帰国中にご参加の先生を含めて7名の対面参加者、ZOOMでは初参加の先生も含めて8名のご参加でした。
デモンストレーションのレベル判定に関する話し合いは白熱するほど活発な意見交換がなされました。また樋口先生のご発表では、日本在住
の韓国人学習者の語彙習得に関する課題が提出され、現場で起きている問題点を私たちみんなで考えなければならないということを実感
しました。
今年は9月23日(土)に協力学会である韓国日本語学会での発表や、その後の論文投稿(12月の学術誌に掲載予定)をするプロジェクトを控えています。現在このプロジェクトに向けて少しずつ準備を進めているところです。これらの活動も含め、研究会の活動に関心をもっていただける先生方が増えていけば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。
 

(文責:小島/韓国OPI研究会会長)



Posted by J-OPI-K at 06:17│Comments(0)
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