2024年韓国OPI研究会 第2回定例会報告書
第2回定例会の内容について以下に報告いたします。
日程 :2024年7月6日(土)14:30~17:30(14:15受付開始)
実施方法:オンライン(ZOOM)
参加者:10名(インタビュー協力者2名含む)
内容:
14:30〜14:45 運営委員からの連絡事項
会長ご挨拶、年間スケジュールご案内【小島】
・定例会:本日第2回7月6日(土)、第3回9月予定、第4回12月予定
・在韓日本語講師会での発表:4月13日(土)15:00~にOPIの紹介とワークショップ
をおこないました(鐘路キャンパスとzoomの両方で実施)。対面とZOOMの両方で
多くのご参加をいただき、質疑応答も活発に行われました。
・2025年3月の韓国日本語学会の企画発表の要請を会長より受け、準備を進めています
(4名の発表者を決定し、準備のためのスタディを継続的に実施中)。
14:45〜15:05 opiデモンストレーション【1人目】
(テスター:小島、被験者:韓国人学習者・男性・会社員)
【インタビューの流れ】
今どこにいるか→会社員か→何の仕事か(自動車の部品開発)→大学での専攻(自動車開発)→趣味(バスケットボールをすること)→バスケットボール2得点と3得点の説明→日本語をどこで勉強したか(高校の授業)→日本旅行の経験(大阪、北九州、福岡)→北九州について(なべ料理が有名)→福岡について(温泉が良かった)→韓国と日本の温泉の比較→自動車部品をどのように開発するか→大学生と会社員の違い→[ローププレイ]日本の観光案内所で、行きたいところについていくつか質問をする
15:05〜15:35 出席者全体でレベル判定とインタビュー構成に関する議論
・インタビュー時間が15分では短くないか?
→質問をもっと充実させ、20分程度行ってもよい。(いつ、どこで、誰が、何を、なぜの要素
を入れる)
・日本語の学習経験についての質問があったがOKか?→NG。今後注意すべき。
・この受験者は難しい質問に対する答えを回避する傾向がある。繰り返し質問しながら、本来
の実力をしっかり探る必要がある。
・上限が見えていない。上級の質問をどんどん入れながら、丁寧に引き出していくべき。
テスターの判定:中級-下(「単語人間」ではなくなんとか「文人間」。サバイバルができている。)
15:40〜16:10 opiデモンストレーション【2人目】
(テスター:後藤先生、被験者:韓国人学習者・男性・会社員)
【インタビューの流れ】
出身(ソウル)→家族→会社員か(自動車会社で車の開発)→一人暮らしをしてみたいか(将来的にしたい)→趣味(野球観戦。ハンファが好き。)→どうしてハンファが好きか(好きな投手がいる。速球投手。)→球場とテレビで見るのとどちらが好きか(どちらもだが、球場での応援が楽しい)→どんな応援か(選手ごとの応援歌を歌う)→会社での1日のスケジュール(日本語研修→解析の仕事→昼ごはん→17~18時に退勤)→仕事についてもっと詳しく説明してください(難しいです)→[ロールプレイ]野球のチケットを購入するために、窓口でいくつか質問する
16:10〜16:40 出席者全体でレベル判定とインタビュー構成に関する議論
・様々な話題で受験者の話題を引き出せていた。受験者が十分に話せていた。
・上級のタスクができない点(挫折)もきちんと確認できていた。
・受験者の話す意欲がどんどんあがっていた点がよかった。→特にロールプレイの部分では
積極的に自分の要求を伝えられていた。
テスターの判定:中級-下(中級タスクをなんとかこなせた。文レベルで話せた。一方で上級
の要素はほとんどなかった)
今回は2つのOPIデモンストレーションを実施しました。最終的なレベル判定は「中級-下」で同じでしたが、2人が非常に異なる性格を持っていることが印象的でした。
1人目の受験者は話をするのが好きなタイプで、どんどん自分のことを話せていました。しかしながらテスターの突き上げが不足していて、彼がどのレベルまで話せるのかの見極めを難しくしてしまいました。
2人目の受験者は普段あまり話を積極的にするタイプではないとのことでしたが、テスターが
丁寧に質問を続けたおかげで積極的に話すことができ、実力を十分に発揮できたようでした。
今回の例のように、受験者の性格によってインタビューでの実力の発揮具合が変わることもありえますが、インタビューの基本的な姿勢(丁寧に聞く、レベルを見極められるまで聞く)を
貫くことが、正確なレベル判定につながることを実感しました。
今後もこのようなインタビューを積み重ねて、OPIの技術向上を目指したいと思います。もし
皆さんがこのようなインタビュー実践とレベル判定練習をご希望であれば、研究会で機会をつくりますので、いつでもご連絡ください。
(文責:小島堅嗣/韓国OPI研究会会長)