2020年11月13日

2020年度 第3回定例会 報告書

2020年度 第3回定例会報告書
日時:2020年10月31日(土) 14:30~17:10
開催方法:Zoom
参加者:11人(韓国:7名、日本:3名、ドイツ:1名)

<定例会内容>
14:30~14:40 挨拶・OPIの概要説明 迫田
14:40~15:40 テープ判定およびディスカッション① テープのご提供:チョウリン先生 司会:迫田
 判定:中級-上(8)上-下(1)
 判定理由:
(中-上)
 ・上級のタスクが少なく、判定しにくいが、身近な話題において上級のタスクで答えられる部分があった。
・上級のタスク ドラマ、インチョンとソウルの比較
 →段落が維持ができていないのではないか。語彙が少なく、自分の身近な話題では答えられるが、段落で答えられていない。
・一つ目の質問が難しそうだったので、フロアが決めにくかった。質問と答えのずれもあった。アスペクト、段落、質量、語彙が不足。
・最初は、中―中?中上、上下で悩んだ。
 →発話量が多く、こなせているように見えるが、質問に対して違う答えをしていた。また、段落ではなく、複文で話していた。
 →漢字語の発音もできていない部分もあった。
 →上級のタスクもできてはいたが、維持は難しい。
・RP
 →RPの内容が難しかった。(幼児のことばかけ)
  →フロア 超級の質問が多く、中級の質問がなかったため、フロアが定まらなかった。
・自己訂正が目立つ。
・適切な語彙が使えず、考える時間が必要であった。
・上級の要素があるにはあるが、所々にしかみえない。

(上-下)
・上級の要素をぎりぎり維持していた
 ・質問を簡単なものから難しいものへ
・比較のタスクはある程度できていた。
・RP:適切に話せていたが、満足できない部分があった。

15:40~15:50 休憩
 
15:50~16:50 テープ判定およびディスカッション② 日本語学習者DB タイ語話者 司会:迫田
 判定:初-上(1)、中-中(5)、中-上(3)、上-下(1)
(中-中)
・段落ができていないのではないか? 自分で段落を使って話すことができていない。
・返事は早いが、まとまりがなく、内容が分からない。
・上級のタスク
 →道順:できていた。
 →寮の部屋・日本とタイの比較:日本の特徴が分からない。まとまりがない感じ。
 →トランスフォーマーのあらすじ:理解できない部分があった。
 →料理の説明:語彙の領域が狭い
・前半身近な話題でフロアを固める、後半抽象的な話で上のフロアがどのくらいできるか見ていっていた。料理の話、部屋、道案内、性格・外見の説明で適切な語彙と表現で質問に見合った答えをしていた。トリプルパンチは途中で、かつ1回で終了。
・後半は抽象的な話をしていたが、超級のトリプルパンチはあまりしていなかった。(服装)
・ 上級レベルの質問にも習ったことを組み合わせて自分なりに伝えることができている。文レベルでも話せている。
(初-上)
・文法の間違い多い、活用、アスペクト、名詞で終わる表現が不自然
(中-上)
・中級タスクは維持しているが、上級タスク:比較、ストーリー叙述等は△

16:50~17:10 お知らせ(次回定例会・OPIスタディーのご案内 迫田)

今回は、14期生のチョ先生よりテープをご提供いただきテープ判定をしましたが、被験者のレベルの判定の難しさや、インタビューの仕方など改めて気づかされる部分が多く、大変多くを勉強させていただきました。また、研究会の定例会とは別に、毎週金曜日に『OPIによる会話能力の評価-テスティング、教育、研究に生かす-』凡人社 を中心に勉強会(スタディー)を行っております。研究会会員の方はどなたでもご参加いただけますので、研究会メールアドレスに是非ご連絡ください。
次回の定例会は、2020年12月12日(土)午後開催を予定しております。次回もZoomで定例会を行う予定ですので、遠方にお住いの先生方もどうぞお気軽にご参加ください。

【文責:迫田亜希子】
  


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2020年10月27日

2020年度 第3回定例会のご案内

2020年度 韓国OPI研究会 第3回定例会

日時:10月31日(土)14:30~(14:20~ミーティングルームopen)

※今回もZoomにて開催いたします。参加ご希望の方は、以下研究会のメールアドレスまでご連絡ください。
韓国OPI研究会:kankokuopi@gmail.com

【定例会内容】
 14:30~14:40 ご挨拶・OPIの詳細説明
 14:40~15:10 テープ判定① 第14期生 チョウ・ウリン先生ご提供
 15:10~15:25 ディスカッション・レベル判定
 15:25~15:35 判定結果発表、質疑応答
 15:35~15:45 -休憩-
 14:45~16:15 テープ判定② 日本語学習者データベース
     ※今回は、韓国以外の出身国の被験者のテープを聞きます※
  16:15~16:30 ディスカッション・レベル判定
 16:30~16:40 判定結果発表、質疑応答
 16:40~16:50 OPIスタディ途中経過報告・ご案内、連絡事項など
  


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2020年06月25日

2020年度 第2回定例会報告

2020年度 第2回定例会報告書
日時:2020年6月20日(土) 10:30~12:50
Zoom開催
参加者:11人(韓国:8名、日本:1名、ドイツ:1名、タイ1名)

定例会 内容
10:30~10:35 挨拶(迫田先生)
10:35~11:45 テープ判定及びディスカッション(テープ提供:小島先生、司会:迫田先生)

判定は、中級-上、中級-中、中級-下の中で分かれ、中級-上または中級-中と判定した方が多かった。
【判定根拠】
・発話量は多いが、文と文のつながりがなく、段落の維持ができていない。
・上級レベルのタスクを遂行するための文法や語彙が不十分であり、詳細の説明や描写ができていなかった。
・韓国語を知っている人なら理解はできるが、外来語の発音が母語の影響を受けており、わかりにくかった。(例:ワーキングホリデー、フライパンなどの発音)
・自分の出身地を説明できるといった上級のタスクが達成されている部分も一部あった。

11:45~11:55 休憩

11:55~12:40 研究発表及び質疑応答
研究タイトル:「韓国におけるOPI関連の論文について」
発表者:迫田亜希子、小島堅嗣、川口慶子、後藤歩

【発表内容】
1.OPIについて
2.考察方法
3.考察内容
 3-1 年代別分析(川口先生)
    2007年、2008年、2011年、2012年、2019年に比較的多くの論文が発行されている。この背景には、1999年にKYコーパスが公開され、2000年代になりコーパスによる数量的な研究が急増してきたこと、また2008年にはタグ付きKYコーパスも公開されたことが挙げられ、この影響で研究数が増えたのではないかと考えられる。
 3-2 学術誌別など(後藤)
    学術誌別に論文数を見てみると、韓国日語教育学会が11編で多く、次いで学位論文(修士)8編と続いている。また論文の中でOPIがどのように関連しているかについて分析したところ、KYコーパスなどのコーパスを論文中に使用または言及しているものが全体の45%を占め、次いで論文の著者が実際にOPIを行い、そのデータを分析した論文が18%を占めているという結果になった。
 3-3 著者別分析(迫田先生)
    論文著者の割合は、韓国人著者35編(50%)、日本人著者33編(49%)、韓国人・日本人共著1編(1%)の順になっている。研究分野を見てみると、韓国人著者の場合は、コーパス研究や習得研究が過半数を占め、日本人著者の場合は韓国の傾向に類似しているが、「その他」の研究が多いことが特徴として挙げられる。また、2010年前後を境にコーパス研究が出現し始めるが、これはKYコーパスを始めとするコーパスが電子データとして提供されたことが影響しているのではないかと思われる。
4.今後の課題(小島先生)
    これからOPI関連の論文で注力されるべき研究テーマとしては、「縦断研究」「年少者研究」「ロールプレイに着目した研究」「テスター側に焦点を当てた研究」「他試験との関連性を明らかにする研究」「統計的分析に基づいた研究」などが挙げられる。また、本研究の今後の課題としては、研究分野のカテゴリーの再検討、検索語を増やすかどうかなどが挙げられ、今後さらに研究を深めていく必要がある。

【フロアから出た質問やコメント】
・OPIのやり方を実際に日本語教育に導入した研究はあるのか。
・日本で発刊された論文で、韓国人母語話者を扱ったOPI研究の位置はどうなるのか。
・分類の仕方はどこを目指すのか。論文を実際に読み込んで、さらに細かいカテゴライズをする必要がある。
・検索項目を「OPI」からさらに広める必要性(KYコーパス、コーパスなど)がある。
・地方などの小さな学会で発行された学会誌まで検索する必要性がある。

12:45~12:50 挨拶(迫田先生)

 今回も、2020年度第1回定例会に続き、Zoomでの開催となりました。オフラインで定例会を進めていくことがなかなか難しい情勢ですが、オンラインで開催することで韓国のみならず日本やドイツ、タイなどからも参加していただき、充実した定例会になったのではないかと思います。
 また、定例会の後半部分で行った研究発表についても多くの質問やコメントを頂きました。ありがとうございます。先生方からいただいたアドバイスをもとに今後も研究を進めていきたいと思います。
 第3回定例会は9月頃を予定しております。次回もぜひご参加ください。

【文責:後藤歩】  


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2019年09月29日

2019年 韓国OPI研究会 第3回定例会報告

2019年度 韓国OPI研究会 第3回定例会報告

日時:2019年9月28日(土)11:00-13:30(10:45分 受付開始)
場所:崇實大学校 ジンリ館 11305号室
参加者:12名(現地参加者 10名、スカイプ・カカオトーク参加者2名)
内容:
 11:00 - 11:10 OPIに関する理論説明(迫田)
 11:10 - 12:10 テープ判定およびディスカッション(1)【上級-下テープ】
 (司会:迫田)
 レベル判定では、中級-上から上級-中の間での判定となっていた。判定根拠は、以下の通り。

レベル判定:中級-上4人、上級-下 3人、上級-中 3人
判定根拠:
 ・上級のタスクは答えられていたものの、質が低いため上-上ではないと
  判断。
 ・超級のタスクでは崩れが見られ、抽象的な話ができず、個人レベルの答えに
  なってしまうこと、敬語の出来が悪いことから、上-下と判断。
 ・超級タスクになると、自分レベルでの話はできるが、それ以上はできず、逃げ
  ている印象を受けた。
 ・語彙が少なく、複段落が維持できていなかった、身近なトピックでも詳しく話せ
  ておらず、上級が維持できてない。
 ・語彙が足りず、描写も弱く、しどろもどろの答えになっていた

 また、「日本で一番印象に残っている(原宿)」に関する質問の可能性についても議論を行い、質問形式について意見を共有した。

12:10-12:20 休憩

12:20 - 13:20 テープ判定およびディスカッション(2)【初級-上テープ】
 (司会:小島先生)
 レベル判定では、初級-下から中級-下の間での判定となっていた。判定根拠は、以下の通り。

レベル判定: 初級-中1人、初級-上2人、中級-下3人   
判定根拠:
 ・単語が終わっているものが多いが、文が出ているところもある
 ・短くはあるが、文で答えられている
 ・文がどの程度維持でいているかがポイントとなる。
 ・決まり文句、定型表現は言えているが、その他の文は安定していなかった。
 ・単語や表現の組み換え、組み合わせは出来ていなかった。
 ・時制をコントロールできていなかった。
 ・単語レベルでの出方が多く見られた。
 ・テスターの話す単語の意味が理解出来ていなかったが、挫折とみなすのか。

13:20-13:30 お知らせ(迫田)
 (1)韓国OPI研究会20周年記念食事会、第14回OPI試験管養成ソウル
  ワークショップの開催報告

 (2)今年の韓国OPI研究会関連の活動および流れ

 (3)日本語プロフィシェンシー研究学会 国際大会@大連
  (2019年11月2日、3日)

 (4)2019年 第4回定例会予定 (2019年11月23日(土)テジョンまたはチョナン、
  地方開催予定)

 (5)韓国日語教育学会@祥明大 韓国OPI研究会 企画発表
  (2019年12月7日(土))

 次回は、テジョンまたはチョナンにて、定例会の地方開催を予定しております。詳細が決定しましたら、ホームページにてご案内いたします。どうぞお気軽にご参加いただきますよう宜しくお願い致します。

文責 迫田亜希子
  


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2018年09月16日

2018年第3回定例会報告書

2018年第3回定例会報告書

 日時:9月8日(土)10:00~13:00(10:15 受付開始)
 場所:ハナ銀行多文化センター 多隣(タリン)
参加者:11名


<定例会内容>

(1)10:35-10:45 OPIの理論に関する説明(司会:迫田)
OPIとは何か、OPIで判定する各レベルの特徴やインタビューの流れについて、簡単に説明を行った。

(2)10:45-11:45 テープ判定(テープ提供:小島堅嗣先生 司会:後藤歩先生)
小島先生が本番ラウンド(認定ラウンド)において提出されたテープを参加者で聞き、レベルの判定を行った。今回は、最初に少し個人で考え、レベルと根拠について整理した上でグループでの話し合いを行い、意見交換を行った。

◆レベル判定(研究会スタッフを除く)
    超級…4名
 上級-上…3名

◆判定理由
超級
・長く話している部分が副段落として認められ、複段落のレベルで話すことが出来ていた。
 ・説得力のある話し方であった。
 ・ロールプレイの際、芸能人を相手にしたインタビューであったせいか、ラフな話し方をしており、敬語の出方も弱く、フォーマルな話し方として認められるか疑問だった。フォーマルな話し方が出るよう促せるような状況の設定が必要。

上-上
・最初の印象は上-上以上だったと思ったが、詳細な説明が不足したりずれていたりした部分があったのが気になった。
・公式的に使用されるものとしては、認め難かった。
・幅広い話題には対応出来ていた。
・自分の興味や関心のあるものから一般論まで話が出来ていた

◆結果-超級
 小島先生も「超級」の判定で提出。トレーナーの牧野先生からも「超級の条件を満たされており、更に目立った挫折が見られない」ということで、判定結果が一致していたとのことであった。

(3)12:00-12:30 トリプルパンチ再考(司会:小島堅嗣先生)
 テープ判定で扱った被験者のデータを用いて、突き上げの一つである「トリプルパンチ」について取り上げた。まず、トリプルパンチについて説明があり、インタビューに現れたトリプルパンチの実例を確認した後、インタビューのテーマを設定し、実際に2名でトリプルパンチを行った。テスター・被験者の両役割をそれぞれ行ったが、以下のような意見が出ていた。

 ・テープでインタビューを聞くのと、実際に自分でやってみるのとではギャップが大きく、とても難しいタスクであることが分かった。
 ・相手の意見に反論することが難しかった。
 ・質問の仕方や反応の仕方が難しかった。
 ・1回目に比べ、2回目の方が若干やりやすかったものの、逆に質問の範囲を広げてしまい、質問の範囲の幅を決めるのが難しかった。
 
(4)12:30-12:40 研究助成プロジェクトの研究中間報告(発表:山中峰夫先生、後藤歩先生)
 今年5月に全北大学校で行われた「第4次産業革命時代の日本学研究」において発表された内容を、一部ご紹介いただいた。(1)テスター間の判定差異はどの部分か(2)テスター間の判定における信頼性向上の方策は何か、の2点を研究目的として行われており、5名の被験者のデータについてテスター3名が判定を行った結果および分析結果についてご説明いただいた。また、今後の研究方針として、エクセルで設定したフォームに文字起こしを行い、更に細かく分析を行うこと、テスター間におけるマニュアルの解釈の差を埋めることなどが挙げられていた。

(5)12:40-13:05 斎藤麻子先生のご挨拶
 この度、お勤めになられていた大学をご退官なさった斎藤麻子先生に、「韓国OPI研究会 最初の頃の活動を振り返って」というタイトルでお話を伺った。
 まず、韓国における日本語教育の始まりと発展、そして日本に関連する学会の設立、研究の拡大についてお話を伺った。そして、日本語OPIテスター養成ワークショップが日本・韓国・欧州でどのように開催されてきたか、韓国OPI研究会の発足とこれまで行われてきた活動や研究会主催での初めてのワークショップ開催の時のお話について、とても丁寧にご説明いただいた。最後に、OPIの良さ、そして研究会の今後の課題についてアドバイスをいただいた。

(6)13:05-13:15 お知らせ
 来年2019年の夏にOPIワークショップが開催されることが決定したこと、ご担当くださるトレーナー、開催日時、募集人数、参加費用について説明を行った。

<文責 迫田>  


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